アマゾンが2016年12月に発表・オープンした(一般消費者向けは2018年1月)レジ無し店舗「アマゾン・ゴー」に対し、日本ではサインポストなどが独自のセルフレジを開発中だ。以下、随意アップデートしていく。
サインポストとセルフレジ
詳細は会社HPに譲るが、2017年11月にマザーズに上場した同社は堅調に推移するコンサルティング事業、ソリューション事業に加え、セルフレジ開発などを手掛けるイノベーション事業を有する。めったにお目にかかれない会社の姿が全く変わる可能性に大変興味を持った。どんな決済方法(勿論現金含む)にも対処できる。
同社がいくつかの特許(添付記事内P4)を保有するセルフレジの中に、
1)世界初A.I.搭載レジスターワンダーレジ(設置型AIレジ)があり、人手不足のコンビニや、スーパーマーケット(少量購入客向け)、オフィス・工場など職域内小規模店舗、アミューズメント施設、空港内売店、高速道路サービスエリアなど商品の購入点数が少ない店舗やレジに導入可能だ。
商品のパッケージや文字などの自動認識により、バーコードやRFIDタグに頼ることなく、ワンダーレジに商品を並べるだけで精算ができるレジシステムだ。商品そのものを認識する当 AI 技術は、バーコードの無い生鮮食品なども認識できる点、また、RFIDタグのコストやタグを商品に貼る人手が不要である点に優位性がある。さらに、RFIDタグは耐熱性、
2)さらに発展させたスパーワンダーレジ(完全スルー型レジシステム)(ユーチューブでデモ)はアマゾン・ゴーに匹敵し、スーパーマーケット、ディスカウントストア、ドラッグストア、など多くの商品を購入する店舗が導入対象だ。コンビニもワンダーレジのみならず、対象にしている。
上記ワンダーレジに搭載している技術を発展させ、買物客が店舗内でカートやカゴに購入する商品を出し入れする時に都度自動で精算し、決済ゲートを通過する際に IC キャッシュカードや現金などの支払い方法を選択しその場で決済を完了させるレジシステムだ。買物客のレジ待ちを解消するとともに、従来のレジスターやレジ要員を必要としない画期的な仕組みとなる。
2017年11月20日から 1週間、セブンイレブンより1日当たり売上が高いNEW DAYSを有するなど、流通業を強化しているJR東日本のイベントで大宮駅において「完全スルー型レジシステム(スーパーワンダーレジ)」の実験店舗を開設し、一般顧客も体験済みだ。因みに、JR東日本のICカード「スイカ」は6900万枚が発行されている。
さらに、2018年8月に出版された「デス・バイ・アマゾン」という本にはセルフレジについてもフォーカスされており、野村総研コンサルタントである著者は「消費者が商品ごとにICタグを読み取ること」や「業者側がICタグを添付すること」に対して、いかにICタグのコストが低下してきたからといって非現実的だと否定的にみる一方、「アマゾン・ゴー」を好評価し、サインポストの「スーパワンダーレジ」に対する期待がこもった文章となっている。「アマゾン・ゴーはあくまでもアマゾンのアカウントを持っている顧客だけが対象で、事前にアプリをダウンロードしておかなくてはならない。」などと「スーパワンダーレジ」の優位性を指摘してもいる。
2018年9月3日には国内外で3000万の加盟店をもつJCBとのワンダーレジ実証実験も発表。JCBはQUICPayという非接触決済向け電子マネーも扱っており、LINE Pay(以下の2018年6月28配信参照)やGoogle Pay(以下の2018年10月9日配信参照)も頼りにしている。9月25日のイベントでLINEペイの長福久弘最高執行責任者
2018年10月17日から2か月間、JR赤羽駅でスーパーワンダーレジの実証実験がスタートしたが、良い意味でただの小さな通過点に過ぎない。
#JR東日本は駅内でAIを使った様々な試みをしている。
2019年2月21日にはサインポストとJR東日本スタートアップ株式会社がAI 無人決済システム「スーパーワンダーレジ」を利用した無人決済店舗の事業化に向けて合弁会社を設立することに基本合意した。
現状を総じると、ワンダーレジ、スーパーワンダーレジにとって、
1)JR東日本とその周辺波及先、2)JCBとその周辺波及先、3)SCSK(住友商事)とその周辺波及先に加え、4)サインポストが既に商談をしている40社程度(2018年2月社長コメントなので現在はもっと増えている可能性)、5)さらに今後国内外で商談にのる可能性がある想像できない数の企業、がターゲットとなる。業種という観点からは小売業に限らずオフィス・工場など職域内小規模店舗、アミューズメント施設、空港内売店、高速道路サービスエリア、金融業、農業(収穫した農作物の仕分け)、書店などが当面のターゲット。
2018年10月16日開催の2018年度第2四半期決算説明会資料によると、2020年度までに3万台の導入を目指している(内訳は不明)。2018年11月5日には上場時の高値を奪回したが、ただの通過点に過ぎない。
以下、今後のワンダーレジ・スーパーワンダーレジを中心にその周辺ニュースフローを追っていく。
- 2019年5月14日、5月21日から東証一部への上場をアナウンス。
- 2019年4月16日配信、サインポストとトッパンフォームズ無人 AI レジビジネスの業務提携に基本合意
- 2019年3月7日配信、無人 AI レジ「ワンダーレジ」をポプラの実店舗で運用試行スタート、#ポプラは全国で500店舗弱運営するが今回は1店(レジ2台)で運用試行スタート。実店舗である点に意義あり。
- 2019年2月21日配信、サインポストとJR 東日本スタートアップ株式会社がAI 無人決済システム「スーパーワンダーレジ」を利用した無人決済店舗の事業化に向けて合弁会社を設立することに基本合意
- 2018年12月18日配信、無人店舗「TOUCH TO GO」in赤羽駅!振り返るとこんなことが…、JR東日本からかなりポジティブなコメント。
- 2018年12月7日配信、AI 無人決済システム「スーパーワンダーレジ」実証実験完了のお知らせ
==>本実証実験を通じて、システムの精度向上や無人決済店舗の実用化に向けた課題の確認と解決等、当初の目的を達成することができました。 - 2018年11月30日配信、【日経新聞1面】「無人コンビニ」の実用化に向け本格的に動き出す、NECとセブンイレブンによる実証実験。バーコード使用など目新しさなく、株式市場ではサインポストの引き立て役になった。
- 2018年11月28日配信、小売店の自動化を格付け 経産省が指標策定へ 、米国や中国で無人店舗が登場するなか、日本の小売店はいまだに人手に頼る作業が多い。小売店側に格付けの自主公表を促し、サービス業の現場への新技術の導入や、生産性の向上につなげたい考えだ。
- 2018年11月22日配信、買い物かご置くだけで会計 東芝が100%セルフレジ、2025年実用化ということで、ワンダーレジを既に実用化し量産しているサインポストがいかに先を行っているかが分かる内容。
- 2018年11月13日配信、SCSK、ベトナムのIT企業「FPT」とアジア太平洋地域のITサービス事業での包括的協働に関する覚書を締結 、サインポストと協業しているSCSKの戦略で親会社の住友商事もサポート
- 2018年11月8日配信、和製アマゾン・ゴーが人気、開発のサインポ
スト、株価はうなぎ上り - 2018年11月6日配信、軽減税率レジ・システム支援を拡充 経産、財務省と調整
- 2018年11月2日配信、レジなしコンビニ「Amazon Go」に対抗、ウォルマートの実験店舗はここまでやる、この内容からはサインポスト製品の秀逸性がクリア。
- 2018年11月2日配信、がん細胞識別 レジ技術で ブレイン、パン見分けるAI応用 、この企業でできるのならサインポストの将来はさらにはかり知れないことに
- 2018年10月24日配信、レジ待ち時間が減る?JR東の「無人決済」売店(東洋経済オンライン)
- 2018年10月22日配信、JR東日本スタートアップとモバイルオーダーのショーケース・ギグ 資本業務提携
- 2018年10月16日配信、JR赤羽駅のAI無人店舗を体験してみた(動画あり)、10月17日から実証実験開始、より詳細記事、
- 2018年10月13日配信、JCBが「AI無人レジ」の狙い キャッシュレス主導権争い激化
- 2018年10月9日配信、JCB、本日より店舗でGoogle Pay対応開始、6月28日配信のLine Payと同様、JCBのQuicPay加盟店で利用できるようになる。
- 2018年10月9日配信、福岡発「アマゾンGo」に対抗 次世代IT店を全国展開
トライアルが国内初 まず60店で無人レジ、RFID使用でサインポストなどが取り組んでいる内容に比べて水準が低いかと。
#2018年2月19日配信、業界初のウォークスルー型RFID会計ソリューション実証実験を開始 - 2018年10月7日配信、レジなし自動精算、日本上陸へ=来年初めに試験店舗-米新興企業
- 2018年10月5日開催、日本スーパーマーケット協会のアニュアルセミナー(SCSKが参加)、cf:以下の2017年12月19日配信ニュース
- 2018年10月4日配信、訪日観光客が「Suica」をベタ褒め。アップルが惚れた技術と世界統一への明るい未来
- 2018年10月3日配信、JCBがAIを搭載したキャッシュレスレジの実験開始
- 2018年10月2日配信、AI 無人決済システム「スーパーワンダーレジ」実証実験のお知らせ~JR 赤羽駅ホーム上に無人決済店舗をオープン~、#JR東日本によるプレスリリース
- 2018年9月25日配信、JR東、「Suica」と相互利用できる交通系ICカード拡充へ 全国で乗り換えスムーズに
- 2018年9月19日配信、無人のレジで買い物新体験、商品の映像を認識して自動精算を実現(日経xTREND)
- 2018年9月10日配信、Standard Cognition直営店第1号「Standard Market(スタンダード・マーケット)」を9月7日(金)
サンフランシスコ市内にオープン - 2018年9月3日配信、サインポスト株式会社と株式会社ジェーシービーによる
ワンダーレジを利用した実証実験について、#JCB側リリースは動画つき - 2018年9月3日配信、「現金お断り」じわり増 AIレジ、カード限定ホテルも 、有料会員向け記事だがJCBが人口知能レジ(サインポストのワンダーレジ)を同社内の飲食店や
小売店で利用した実証実験を行い、加盟店にもノウハウを提供することを検討するとの内容。 - 2018年8月17日配信、「変なホテル」が“無人化”に取り組む本当の理由 —— 地方都市で挑む世界最先端
- 2018年7月31日配信、画像認識及び無人レジ技術の知見獲得に向け契約を締結(Standard CognitionとPALTAC)
- 2018年7月27日配信、米中で無人コンビニ沸騰 機動力の良さ日本でも
- 2018年7月23日配信、サインポスト、受注堅調
- 2018年6月28日配信、LINE、スマホ決済に非接触型 JCBと組む
- 2018年6月27日配信、ワンダーレジ実利用開始
- 2018年4月17日配信、2017年度決算説明会資料(サインポスト)
- 2017年12月19日配信、SCSKと流通小売業のレジ無人化に向け協業発表
- 2017年11月20日配信、JR東日本の大宮駅において(スーパーワンダーレジ)の実験店舗を開設
キャッシュレス決済・セルフレジ関連ニュース等整理
以下、セルフレジ発展に必要不可欠なキャッシュレス決済も含め国内外のニュースフローも同時に追っていく(古いニュースがアップデートされれば削除する)。
#キャッシュレス決済、1.プリペイド(前払い)、2.リアルタイム(即時払い、デビットカードやQRコードなどで預金口座から直接引き落とし)、3.ポストペイ(後払い、クレジットカード)に大別。日本では2割弱と低い(2015年、韓国9割弱、中国6割、欧米4~5割)。
#キャッシュレス推進協議会設立(経済産業省、2018年7月3日)、協議会について
- 2019年3月27日配信、LINE Payとメルペイが加盟店を相互開放、現場の負担軽減でキャッシュレス推進
- 2019年3月19日配信、JCBが信用保証事業をジャックスへ承継、決済分野に集中
- 2019年1月23日配信、賃金デジタル払い解禁を検討 国家戦略特区でキャッシュレス化推進
- 2019年1月8日配信、セルフレジの利用経験者は6割、「ぜんぶ自分でやる」のはちょっと面倒?
- 2018年12月27日配信、ファミリーマートが独自の電子マネー導入 来年7月から、
- 2018年12月23日配信、【地球コラム】キャッシュレス進む中国、周回遅れの日本
- 2018年12月15日配信、消費者は嬉しいかも、だけど… JR東「Suicaでポイント還元」の事情
- 2018年12月3日配信、ヤフー系スマホ決済、ネット通販の支払い可能に 、
- 2018年11月28日配信、ファミマ、対応ポイント拡大 ドコモや楽天OKに
- 2018年11月27日配信、LINE、スマホ決済で中国テンセントと提携 、決済サービス「LINEペイ」
を導入していない中小店舗に、 ウィーチャットペイも使える専用端末を貸し出す。アリババ集団の「支付宝(アリペイ)」と連携させたヤフーのPayPayに対抗。 - 2018年11月23日配信、自動走行、キャッシュレス完全実施=スーパーシティで中間まとめ-政府
- 2018年11月22日配信、スマホ決済で銀行連合 加盟店手数料、最低の1%台
- 2018年11月22日配信、還元率20%の衝撃──スマホ決済のPayPay、100億円バラマキでキャッシュレス市場に攻勢
- 2018年11月16日配信、ベリトランスと東芝テック、POSシステム向けマルチ決済ソリューションを 展開する合弁会社「TDペイメント」を設立
- 2018年11月9日配信、衝撃! キャッシュレス大国・中国の「知られざる闇」
- 2018年11月1日配信、大和ハウス系、複数決済方式を1端末で
- 2018年10月31日配信、キャッシュレス推進政策が開けたクレカ業界の「パンドラの箱」
- 2018年10月30日配信、マツキヨ、グループ全店でアリペイに対応
- 2018年10月25日配信、セブン‐イレブン、クレジットカード情報の非保持化に対応
- 2018年10月24日配信、企業給与、電子マネーもOKに? 厚労省が規制見直す方向
- 2018年10月20日配信、タッチ決済、便利に進化中 クレカ連携、入金の手間なく
- 2018年10月19日配信、政府、カード手数料下げ要請へ 消費増税で
- 2018年10月15日配信、ローソン銀行の「キャッシュレス」戦略を分析する:モバイル決済最前線
- 2018年10月11日配信、帝人 商品在庫を自動管理、ローソンと連携
- 2018年10月10日配信、規制改革担当相、最先端技術を集約「スーパーシティ構想」、キャッシュレス化も含まれる
- 2018年10月8日配信、ローソン、秋葉原で都市型コンビニの実験店 9日から、どうみてもサインポストなどが取り組んでいる内容に比べて水準が低いかと。
- 2018年10月8日配信、日本人に「脱・現金払い」は本当に定着するか、現時点での総括的内容
- 2018年10月5日配信、キャッシュレス推進に「地場連合」 JR九州など17社が団体設立
- 2018年10月4日配信、手ぶら決済に最適な非接触の生体認証融合技術を開発
- 2018年10月2日配信、ファミリーマート(ファミマ)でクレジットカードは使える?電子マネー他おすすめの支払い・決済方法まとめ
- 2018年10月2日配信、2020年までに全国のタクシー4台に1台がキャッシュレス対応。ネットでの事前決済が可能な都内タクシーが増加
- 2018年10月2日配信、完全キャッシュレス店舗「大江戸てんや」10月2日オープン
- 2018年9月28日配信、三井住友FG、三井住友カードを完全子会社化、クレジットカードの発行を手がける傘下のセディナと来年4月にも実質的に合併させる。現金を使わないキャッシュレス化の進展をにらみ、グループの中核で成長戦略を担う位置づけを鮮明にする
- 2018年9月27日配信、飲食業界にもキャッシュレス化の波が来る!? QRコード決済、主要各社のサービスを比較
- 2018年9月21日配信、Origami、66.6億円調達、銀聯と連携し世界でモバイル決済を展開
- 2018年9月19日配信、スマホ決済、企業に無償開放 オリガミ トヨタ系など参加検討
- 2018年9月13日配信、セブン銀行ATMが交通系ICカードや楽天Edyのチャージに対応。10月15日から
- 2018年9月9日配信、郵便局もキャッシュレス決済 宅配便や切手販売
- 2018年9月8日配信、アマゾンも参戦”QRコード決済”のうまみ
- 2018年9月5日配信、馬券購入、手のひら認証で 富士通が新型券売機
- 2018年8月30日配信、「アリペイ」各所で導入進む。電子決済の普及に向け、政府は支援を検討、国立文化施設、プリンスホテルなど
- 2018年8月29日配信、アマゾン、日本の実店舗でスマホ決済開始 手数料ゼロ
- 2018年7月1日配信、イオン、手のひらで決済 静脈で認証、9月から実証実験
- 2017年12月27日配信、ついに「キャッシュレスファミレス」が登場!「現金不可」はスタッフにも客にも優しい取り組みだった、ロイヤルホールディンググループの「GATHERING TABLE PANTRY(ギャザリング・テーブル・パントリー)」