ブルーンバーグによると、三井不動産が東京ドームに対し、株式公開買い付け(TOB)を実施する方向で最終調整に入ったとのことだ。9.61%を保有し、長岡社長ら取締役3人の解任を要求していた筆頭株主のオアシス・マネジメントの出方が注目される。
三井不動産(8801)が東京ドーム(9681)の株式公開買い付け(TOB)へ
詳細は添付ブルーンバーグ記事などに譲るが、事実となれば三井不動産が友好的買収者(ホワイトナイト)として名乗りを上げたということだ。記事によると単独買収ではなく、他の出資者との共同買収とする可能性もあるとのことで、非常に興味深い。
オフィスビル、マンション、商業施設、ホテル、物流施設など様々な仕掛けを日常的にこなしている同社だが今回の行方は実際にいくらで買えることになるか、いくらまで買う気があるのかを含めて詳細が待たれるところだ。
今回のTOBはホワイトナイトという役割プラス東京ドームの所有する東京ドームシティ(東京ドームを中心にアミューズメント、ホテル、イベント会場など様々な施設)を活用しての不動産開発などで連携を目指している。
三井不動産は後述するように東京都内だけでもかなり積極的に再開発を推進している。最初東京ドームまで手を出してくるとは驚いたが既に、東京ドーム周辺の同社が主導する最近のプロジェクトとしては、春日通りを挟んで文京区役所の入る文京シビックセンターの対面に「地上40階のパークコート文京小石川 ザ タワー」、賃貸棟、文京ガーデン ゲートタワーというオフィスなどを含む文京ガーデンという複合施設がある(一部は開業している。)。都営大江戸線・三田線春日駅や東京メトロ南北線後楽園駅と直結となる。


三井不動産x東京ドームシティアトラクションズx読売新聞グループxよみうりランド(9671)
2020年7月20日、読売巨人軍と東京ドームは2023年までに換気能力の向上や衛生対策、スクリーンの大型化など総額約100億円の大規模改修を行うと発表したが、こちらの行方も完全に不透明になる可能性がある。この発表で読売巨人軍がいくつかの他の球団(球団の親会社、グループ会社など、西武、中日、オリックス、阪神、ソフトバンク)のように自社球場を持つといった噂がかき消された。
2020年4月のデイリー新潮の記事によると、「巨人が東京ドームに支払う球場使用料はいくらなのか。残念ながら、気になるその金額は非公表とされているが、筆者が球界関係者から入手した情報によると、巨人が負担する東京ドームの年間使用料は約50億円にも上るというのだ。50億円!」とある。
読売巨人軍(読売新聞グループ)は今回の出資により減るとはいえ、これからも多額を本当に払い続けるのか。上記の噂のターゲットになっていた築地中央卸売市場跡地の行方とコロナ禍による東京都の財政事情の変化との関係など妄想をかきたたせる材料が増えてきた印象だ。築地中央卸売市場跡地再開発の一部に読売巨人軍本拠地移転+東京ドーム跡地再開発などといったエキサイティングな展開にならないか?
==>正式発表を読むと、東京ドーム自体の収益強化が重要施策になっているので読売巨人軍の本拠地移転はないようだ。ただし、将来的の再整備の可能性も否定していので中長期的は様々なシナリオを秘めている。
野球場を含む多目的施設としての東京ドームの行方のみならず、東京ドームも6.9%保有していたが、2020年11月6日、読売新聞が完全子会社化すると発表した(12月21日までTOB中)よみうりランドと三井不動産が所有することになる東京ドームシティ アトラクションズとの何らかの協業の可能性が出てくるのかなど多くのシナリオも考えられる。
さらに、よみうりランドは船橋、川崎競馬場の歩合家賃が主力事業となっており、東京ドームは大井競馬場の大家である東京都競馬(9672)の株式を6.2%所有するという競馬つながりもある。東京都競馬は東京サマーランドも運営している。
読売新聞グループ本社社長は「読売新聞にとって、スポーツ、文化、エンターテインメント事業はもう一つの本業。よみうりランドを中核企業に据えて成長させたい」と述べている。完全子会社化すれば、グループの飲食や物販、読売巨人軍などのスポーツ関連ビジネスを、よみうりランドへ集約するという。
東京ドーム含む東京ドームシティの現状・課題についての詳細はこちらの記事が非常に参考になる。
読売新聞社グループと三井不動産は2019年2月に竣工した「読売並木通りビル」でも協業開発している。

三井不動産x再開発案件
ブログ内「八重洲~日本橋・茅場町周辺再開発タイムスケジュール」では主に2021年から2027年、さらにはその先に竣工予定の再開発をリストアップしている。各再開発を整理していると三井不動産が最も頻繁に登場する(マンションは含まず)
- ブログ内「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業 三井不動産」(2022年)
- ブログ内「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発 三井不動産 日本橋再生計」(2025年)
- ブログ内「日本橋本町一丁目再開発 三井不動産」(2025年)
- ブログ内「日本橋室町一丁目再開発 三井不動産」(2026年)
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ブログ内「八重洲二丁目中区再開発 三井不動産」(2028年)
- 日本橋一丁目東地区再開発(詳細不明)
- 日本橋一丁目1、2街区再開発(詳細不明)
- ブログ内「三井不動産x帝国ホテル周辺再開発=内幸町一丁目街区再開発」
さらに、日比谷公園をバックに日比谷・内幸町でも以下のような動きを主導している。

- 2007年、米国のサーベラス・キャピタル・マネジメントの意向を受け、国際興業から帝国ホテル(9708)の発行済み株式数の33.16%を取得し(取得金額約862億円)、今でも協業中だ。
- 2018年3月に東京ミッドタウン日比谷を開業した。
- NTT日比谷ビル、東京電力本社ビルなどと共同で段階的な再開発を計画。
三井不動産xホテル事業
ブログ内「三井不動産 x ホテル事業が1万室達成x「ホテル・ザ・三井 京都」でも取り上げたが、三井不動産は八重洲・日本橋・茅場町周辺再開発地域内で関わるラグジュアリーホテルとして、
既存高級ホテルで
- 三井不動産が誘致したマンダリン オリエンタル東京が、
今後数年以内竣工予定の高級ホテルとしては以下の2つがある。
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ブログ内「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業 三井不動産」のブルガリホテル東京(2023年開業予定)
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ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」が日本初進出(2026年開業、39階~47階)。
ブログ内「八重洲・日本橋・茅場町周辺再開発 x ラグジュアリーホテル」でも取り上げたが、丸の内・大手町・日比谷に比較するとスケール的に物足りない八重洲・日本橋・茅場町エリアで、三井不動産によるさらなる展開が注目される。