京急総括 山手線新駅 x 品川駅再開発 x 羽田空港 x 川崎駅再開発 x 横浜市へ本社移転(2019年)


京急によると、2016年度連結営業利益が2020年度の営業利益予想(中期経営計画)を大きく上回る。2020年東京オリンピック・パラリンピックとその先に向け、山手線新駅(泉岳寺駅が隣接)・品川駅・羽田空港・川崎駅・横浜駅に交通網を張り廻らず京急にとっては創立以来最大のビジネスチャンスが控えている。2027年にはリニア中央新幹線開業予定(品川-名古屋間)。

京急の現状:2016年度は過去最高益達成、2020年に向けて収益源多様化へ

京急は2016年5月11日、5か年中期経営計画(2016年度~2020年度)を出しているが、5年間の設備投資額は2600億円と、直近5年間の5割増として収益源を多様化していく。京急グループで山手線新駅・品川駅周辺に保有する約6万平米の土地有効活用、羽田空港関連、ビジネスホテル展開等々、同社の動きから目が離せない。

2020年度の連結営業利益目標が330億円になっている。2015年度の営業利益が148億円に落ち込んでいたこともあるが、2017年4月19日に発表された2016年度業績上方修正によると営業利益380億円とあり、既に凌駕している。駅ビル「ウィング高輪EAST」や駅前のホテル「シナガワグース」などの賃貸収入が再開発のために2019年度に一旦止まるが。実際にはどの程度になるのだろうか。

==>利益の変化よりも、資産価値=バリューの変化が注目される局面。

2015年度に神奈川県三浦半島で進めてきた鉄道延伸と宅地開発の計画を凍結し、150億円規模の土地の評価損を計上、2016年度の上大岡京急百貨店の大幅減損で負の遺産を整理し、山手線新駅・品川駅・羽田空港・川崎・横浜に交通網を張り廻らず京急にとっては、2017年度から2020年東京オリンピック・パラリンピックやその先に向け創立以来最大のビジネスチャンスが控えている。

ブログ内では今まで様々なアングルから京急を取り上げてきたが、一旦総括し、新しいニュースフローを今後付加していきたい。以下、(1)山手線新駅・品川駅再開発からのポテンシャル、(2)羽田空港の国際化進展とアクセス向上からのポテンシャル、(3)神奈川県(横浜市、川崎市など)での事業拡大からのポテンシャル、について整理した。

==>随時ニュースフローアップデート(直近、2018年11月3日)

山手線新駅については「山手線新駅開業に向けての記録 既存記事整理」を見るといかに京急が主役の1社として大きな関わりを持っているかが分かる。

 

JR品川駅高輪口。奥は港南口。

(1)山手線新駅・品川駅再開発からのポテンシャル

詳細はHP内の保有オフィスビル・商業施設・ホテル一覧に譲るが、京急は現在本社のある泉岳寺から品川駅高輪口にかけてのオフィスビル・ホテル群・駐車場と約6万平米の保有土地がある。実際に泉岳寺駅から品川駅を第一京浜沿い(向かって左側)に歩くと、京急保有のホテル、本社、オフィスビル、駐車場の多さに驚く。これらに、品川駅高輪口駅前のオフィスビルやホテルなどが加わることになる。

特に、「高輪 山手線新駅・品川駅再開発(1)概要とJR東日本」で取り上げたように、JR東日本などとのコラボレーションによるバリューアップが期待できる。容積率緩和となれば収益力はさらに高まる。例として品川駅高輪口前の「シナガワグース」は2019年度に建て替え着工の予定(700~800億円かけて、従来のホテルに加え、オフィス、会議場、住宅も備える。)だが、現在、このエリアの容積率は600%まで認められているが、350%ほどのままになっており、再開発により大幅に収益性向上が期待できる。シナガワグースの延べ床面積は3倍に拡大される予定。

山手線30番目の新駅暫定開業(駅を含む開発用地の面積は13.9ヘクタール、品川駅~田町駅2.2キロで、品川駅から約0.9キロ、田町駅から約1.3キロの位置にあり、京浜東北線も乗り入れる)は2020年春に予定されており、2014年6月、JR東日本より正式発表になった。2016年9月には隈研吾(事務所)が デザインアーキテクトとして参画していること含め概要も発表され、本開業は、2024年頃の街びらき時を予定している。山手線新駅地区で働く人の数は10万人規模になる見通しで、六本木ヒルズの3倍以上となる。品川駅地区を含めると20万人となり丸の内に匹敵する規模だ。

冒頭に写真を添付した山手線新駅と隣接する泉岳寺駅にある本社は2019年に横浜市西区のみなとみらい21区に移転し、「京急電鉄をはじめ,グループ企業約 10 社,社員数約 1,200 名を集約します。現在の本社ビル(港区高輪 2-20-20)については,品川地区の再開発を見据えた利用方法を検討してまいります。 」となっている。以下の添付写真などに分散されているグループ社員が横浜に移り、グループ用と外部用に使用されている既存のオフィスビルなどが一層外部用に有効利用されていくということだ。駅ビルや線路沿いのビルについてはJR東日本の再開発エリアと第一京浜を結ぶ地点にあるものも多く、東京都の計画に沿って土地交換などで集約も検討する。

「山手線新駅(品川新駅、仮称)開業に向けての記録」を2020年春に向け逐次アップデートしている(山手線新駅開業に向けての記録 既存記事整理 )。その後は2024年の新駅本開業、2027年のリニア中央新幹線開業予定(品川-名古屋間、#品川-大阪間は2045年予定)に向けて街びらきが加速化していくと思われる。その2027年までには2階にある京急品川駅のホームを1階に移し、線路を3本から4本に増やす計画。JR線との移動距離が短くなり、効率的な鉄道運行が可能になる(JR品川駅高輪口(西口)再開発への記録 既存記事整理)

 

(2)羽田空港の国際化進展とアクセス向上からのポテンシャル

品川~羽田空港国際線ターミナル駅間の所要時間が11分、品川~羽田空港国内線ターミナル駅間の所 要時間が14分と、ターミナル駅としてさ らなる発展が見込まれる品川周辺ならびに都心方面からのアクセス が非常に便利だ。インバウンド関連企業の主役の1社であることや、(1)の影響も手伝って京急線を使用する人数も自然に増える。

羽田空港国際化進展で成田空港の競争力低下へ 不動産価値にも影響」でも一部取り上げたが、大別して、1)羽田空港の発着枠の増加や首都圏鉄道24路線構想 羽田・成田へ3新線の可能性、2)「京急 羽田空港周辺で賃貸マンションの開発・管理を強化」3)「京急EXイン 品川・泉岳寺駅前(三田3丁目)、2016年6月23日からオープン」、と鉄道・マンション・ホテルと幅広いポテンシャルがある。

(3)神奈川県からのポテンシャル:横浜市、川崎市

京急は2016年3月28日、みなとみらい 21 中央地区 56-1 街区における事業予定者への決定に関するお知らせ を出し、「今後,横浜市と開発に関する協議を進め,2019 年秋の稼動を目指し,当社をはじめ複数のグループ企業の本社機能を集約した京急グル ープ本社ビル(仮称)を建設予定です。」と公表した。

ブログ内山手線新駅・品川駅再開発関連

ブログ内京急・羽田関連

京急は山手線新駅(品川新駅、仮称)・品川駅のみならず、京急羽田線で羽田空港とも密接に結びついているため共に添付した。羽田空港国際化の流れは止まらない。

最後に、「「東京の玄関口」 東京オリンピック前後それぞれの戦略、日経朝刊が「京急、品川の複合ビル 規模3倍に」との記事掲載」をご紹介しておきたい。このページを含めて、1.築地、2.浜松町駅、3.田町駅・三田駅、4.山手線新駅(品川新駅、仮称)・泉岳寺駅~品川駅、5.羽田空港・京急、京急が現在の泉岳寺駅にある本社を2019年に移す6.横浜についてブログ内記事で整理した。