古吉弘という油彩画家がこの数年、毎年クリスティーズ・ロンドンの「Out of the Ordinary」に出品している。9月14日のオークションで£80500で落札された。古吉氏HPのブログも更新されている。昨年の2倍以上で過去最高値となっている。絵は個性だ。
2016年クリスティーズ・ロンドンに出品されたAdelaide
古吉弘は今年もクリスティーズ・ロンドンの「Out of the Ordinary」(普通じゃないもの、変わったもの)オークションに出品(9月14日開催)。£80500もの値がついた。136円換算で約1094万円だ。現地通貨ベースで2.1倍以上となり過去最高値を更新した。
先日、「古吉弘とクリスティーズ・ヤフーオークション(ヤフオク)」、「プチリッチな敬老の日のプレゼント2016(29) 画家古吉弘が今年もクリスティーズ・ロンドンに出品」でも書いたが、古吉弘の作品は40号・変形15号・ミニアチュールと3点買った後、買える機会が全くなくなってしまったため版画を2点買った(5点とも三越伊勢丹日本橋、高島屋横浜を経由)。クリスティーズ・ロンドンに出品する以外の新作がないため非常に残念に思っている。
クリスティーズ向けの作品と過去の国内作品を同列に扱うことはできないが、2013年の出品からあまりにも海外価格が高くなってしまったので、どう国内価格(1号あたり???)を設定していいかわからず、新作が発表されていないようだ。
実際、2015年末から2016年のヤフーオークションの結果(2016年5月記)からも分かるように、昨年末から今年にかけてとんでもないことになっており、私が2014年~2015年に日本橋三越で購入した水準から2~4倍に跳ね上がっている。高額で落札された作品をクリックし詳細を見ると、古吉の今後の作成スタンス含め需給問題がクローズアップされており、その行方が注目される。 上記添付((2016年5月時点、#現在はまた違う作品が添付にある)にあるLOUCAは古吉氏の典型的な作品(25号、画面サイズ80x45㎝)で昨年末ヤフオクで342万円で落札されている。
==>2017年3月25日追記。3月22日にはヤフーオークションで40号の作品(100x35cm、画面サイズ、EMMA)が何と604万円で落札された。
#2017年3月12日、古吉氏HPより抜粋。
拙作がロンドンで高額落札されるようになりましてから、日本での発表価格とバランスがとれなくなり、国内での油絵の発表はここ数年中止しておりましたが、ミニチュアを以前の4倍の価格に、ということで今回の出品となりました。
とはいえ先月もネットオークションで拙作3号が以前の10倍の値段で落札されたりと価格は流動的ですし、クリスティーズからも「out of the ordinary」以外の出品も要請いただいている(出品するかどうか未定)ため、今後も国内での油絵展示の機会はほとんど無さそうです。
==>2017年5月には10号で400万円(税込432万円)での作品販売(1点のみ)も計画されており、上記で書いた2~4倍どころか10倍水準となってしまっている。
版画だけは以下の三越オンライン、高島屋オンラインの検索で古吉弘と入れると、正規の価格で購入できる作品がある。
▶高島屋オンラインストア

2013年~2016年 クリスティーズロンドンのオークション結果整理
まずは以下に整理した(その下に各年の詳細を添付。絵の写真も観れる。)。昨年は8月の中国ショック後で古吉氏も危惧していたように前年比で低調も、今年はBrexit決定後にも関わらず、サイズに変化はないにも関わらず(2015年の横幅は中央部分と両側の観音開き部分を足せば同程度の長さ)、現地通貨ベースで2.1倍以上となり過去最高値を更新した。
- 2016年 Adelaide 35.5×27.0(cm) £80500 (136円で約1094万円)
- 2015年 Maya 33.3x15(中央)、33.3x6(両側にそれぞれ) £37500 (188円で約708万円)
- 2014年 Campbell 32×40 £43750(182円で約800万円)
- 2013年 Maya 35.6×25.4 £52275(156円で815万円)
2013年クリスティーズ・ロンドンに出品された「MAYA」
以下は同氏ブログから「MAYA」に対してのコメントだ。詳細は添付で。
- 2013年8月のブログ:クリスティーズ・ロンドンのオークション前
- 2013年9月のブログ:9月5日、£52275(当時156円換算で815万円)で落札。
- 2013年11月のブログ:「MAYA」が「月間アートコレクターズ12月号」の表紙に。
2014年クリスティーズ・ロンドンに出品された「CAMPBELL」
以下は、2015年3月に三越伊勢丹限定の新作銅板画作品が販売された際、添付記事で紹介文に書かれた内容だ。
2014年には世界で最も規模の大きいオークションハウスであるロンドンのクリスティーズ(Chiristie’s )にて、同氏が描いた「キャンベル(CAMPBELL)」(油絵5号、32cm×40cm)が£43750(当時182円換算で約800万円)で落札され話題を呼んだ。この作品は “骨董の”人形の顔や花瓶など、ミステリアス感あふれるモチーフがキャンバス一面に描かれた棚に並び、その前には少年が起立している、どこかサスペンス的ながらも不思議な好奇心を起こさせる雰囲気を醸し出している。
2015年クリスティーズ・ロンドンに出品された「MAYA」
MAYA(4号、画面サイズ33.3x右6.2、中央15、左6.2㎝)が、£37500(当時188円の為替で約708万円)で落札された。昨年は8月の中国ショック後で古吉氏も危惧していたように前年比で低調となったが、それにしてもこのサイズでこの価格はやはりすごい。